ごめんね、お兄ちゃん。

私は、行こうと思うんだ。


お兄ちゃんと夜白が、行かないで欲しいと望む北校に。





「……会いにいく。」


愛しの親友と、放っておけない隣人に。




橘はともかく、恵が住むのはうちの隣。

だから会おうとすれば会えるんじゃない?と

西に行かなくなった最初の頃は簡単に思ってた。




でも、私はすぐに知る事になる。

恵の家の、なさすぎる生活感を。



恵は、あれ以来家に帰ってこなかったのだ。

確かに西校にはベッドもあるし、調べたところによるとシャワー室やキッチン等もあるらしく、生活には困らない。

だけど、忙しいにしてもだよ。



およそ半月もの間、恵はどうして家に帰らないの?



事情があるならそれでいい。



家に帰りたくないなら、それでいい。

けれど、今まで、どんなに忙しくたって恵は私に構い倒してきて。

急にそれがなくなって、まるで避けるように家に帰らなくなったなんて



私、何かしちゃったのかな。

いつの間にか、嫌われちゃったのかな、なんて。




黙って一人で考えると、悪い方に考えてしまうのが私の悪い癖だ。

分かってる。



会いに行けばいい。






それでも今まで会いにいかなかったのは───





───面倒くさいと思われたくないから。