「初伊、堕ちる所まで堕ちても、ずっと好きだよ。」


「……堕ちない努力をするね。橘と同じ所にいたいもん。」




……また行成。

実は本当に消すべきは行成だと最近思い始めた。

初伊は、本当に行成が大切らしい。





「そう言えば、橘は?」


「んーネズミ駆除?」

「……あの東の人達?」



そうだと俺は頷いた。




「あー……悪いのは向こうだけど、可哀想になってくるよね。絶対橘って強いもん。」


「本当初伊って人が良いよね。まぁ、あれは影のボスだからね。痛い目は見るよね。」


「橘って何者なんだろうね。私達はお互いの家についてはノータッチの関係だからねー。」





事実、そう思っているのは初伊だけで行成は初伊の家も西巴の家も知っているし、俺も知っている。


初伊、行成は、香港系マフィアのボスの息子だよ。



「知ってるの?」




長過ぎる間に、何かを悟ったらしい。

教えようか?と聞くと、初伊はやめとく、と言った。







「やめとく。何者でも橘は橘だからね。」




そうやって誰かの欲しい言葉を言っちゃう所とか、本当に大好きで本当に大嫌いだ。





もしかしたら、悪魔は初伊の方かもしれないよ?






恵side end