一歩一歩、ヤンキー達の群れに近づいていく。


「危ないよ!」やら、「何やってるんだ!」やら、外野から言われるけれど全部無視。





ねぇ、遊佐。

お前今、何やってるかわかってる?

自分のやってる事の重大さに気がついてるの?





お前、完全に、西と南と東に喧嘩売ったよ。



今の事がもし西巴君や南城君にバレたら、殺されるよ。

しかももれなく、最も苦しむ方法で。





「うっせーぞ、暴力女!」


ついに、初伊ちゃんに手を上げようとした遊佐。

僕は後ろから、そいつの押さえつけて捻る。


骨が折れたって、構わないよね。






「はっ……。笑わせるよねっ。女の子にまで手ぇあげようとするとか。」



クズだとは思ってたけれど、これ程までに堕ちていたとは驚きだ。

怒りから、笑顔が浮かんだ。




「北原君に女の子の口説き方、教えてもらったら少しはマシになるんじゃないっ?ああ、ごめん。顔の造りが恵まれてないあんたには、到底出来ない芸当だったねぇ。」


「お前、まさか……?!」


取り敢えず、このヤンキーだらけの場所から、呆然としてる初伊ちゃんを救出するのが先決。

遊佐は僕の正体に気づいたみたいだから、この少女が東麻だと他のヤンキーにバレる前に、口封じをしようか。



大勢の観客の前で、女の子に殴られるという痴態を晒せばいいよ。



遊佐を殴れば、思いのほか遠くに吹っ飛んで行った。


遊佐さん?!とそいつにヤンキー達の意識がいってるうちに、初伊ちゃんを連れて僕はマンションの中に逃げ込んだ。