かなりの時間走っていた気がする。

体力の限界を感じて、路地裏に入った。




しばらくはあいつらに見つからないはず。

少し休んでから、もうちょっと遠くに逃げよう。




出来る事なら応戦したいけど、熱が収まりそうにない。

こんな状態で戦って、負けましたなんて笑えないから。





大きなゴミ箱とゴミ箱の間に、人一人が入れそうなスペースがあって、そこに僕は隠れる事にした。





ようやく落ち着いたのか思考が動き始めて、

ふと、東校連盟のヤンキー達は無事だろうかと考えた。



特に……蛍。





喧嘩が出来ないのに、“副総長”なんて大きな看板を背負ってるんだから、遊佐達に狙われるに決まってる。


骨折程度で済めばいいけど……。






(そもそも、もう裏切ってるかも。)





蛍が僕の側に付くなんて確証はどこにもないのに、頭の中では蛍は味方だと考えてしまっていた。


だって、僕に半ば強引に副総長にされて、いつも理不尽な扱いをうけて。


どうして味方でいると言える?






誰を信じていいか、もう分からないよ。


広い世界に、一人だけ。

一人ぼっちな気がした。