「あの、私、無理です!」

「あ"?照れなくてもいいだろ。」




心の底から照れてないよ!





「大丈夫、お似合いっすよ!」

「愛はこれからはぐくめますよ!」





全くはぐくむ気はないよ!





どうしよう。

この人達、恵並に話を聞かない。

ポジティブ加減は、恵を超えているかもしれない。





こんなに否定してるのに、遊佐さんもカラフルさん達も、笑顔。

何なんだ?!

このポジティブさを、若干ネガティブなお兄ちゃんに分けてあげてよ!





「そういえば、アオ。名字は何て言うんだ?」

「え?!……えーっと……青沼?」





名字なんて考えてなくて。

ぽっと頭に浮かんだそれを言ったけれど、


“青沼 アオ”


ちょっと青々しすぎる名前になってしまったかな。





「よし、青沼アオ。」と、私の偽名を大きな、野太い声で遊佐さんは言って。



「光栄に思え。正式に、お前を俺の彼女にしてやる。」






ん?


ちょっと待って!と叫ぶ前に、

遊佐さんの両手で顔をがっちりホールドされてしまう。



近づくのは、熊のような顔。






嘘でしょ……。

これって……キス……されそう?





橘に親友、解雇されちゃうよ!