それなら東麻君の事、早速バレちゃうな。


怒られると仮定して、心の準備しておこう。


そうしたら怒られても予定通りだし、そうでなかったらラッキーって思えるもんね。







「東麻君、お兄ちゃん帰っ……」



帰ってきたかもしれない、と言葉が続くはずだった。


でもその言葉は飲み込まれる。





だって東麻君がいないんだから。





さっきまでいたはずの東麻君がいない。

ソファーの上には、畳まれた毛布があるのみだ。




「……もしかして……」




私は焦って立ち上がった。


“もしかして、玄関を出入りしたのは東麻君なんじゃないの?”



駆け足で玄関に行けば、彼が履いていた靴は無い。



その代わり、置き手紙が一つ残されていた。






手に拾ってそれを読んで。

それからすぐに私は、駆け出した。




“初伊ちゃんへ”

家に帰ります。


東の問題は、僕が解決するから。

カナンのお嬢様の出る幕はおしまいだよ。


それから、ありがと。



P.S.もう関わらないようにしてあげるけど、もし次会えたら、美琴って呼んでほしいな。






ちょっと待ってよ。

なんか、東麻君の中では完結したらしいけど、

私はこの手紙、全然納得してない。