……いや、からかってるんだろうけど。

南城君、フェロモン全開で気に入った発言はやめてもらいたい。




おい初伊、と南城君は王様の様にソファーに足を組んで座りながら言う。



「人は逃げられると追うように出来てるんだよ。お前はもう俺のオトモダチだ。逃げられると思うなよ。」





南城君の夜みたいな瞳はやっぱり危険だ。


呑み込まれそうになる。




ていうか、南城君はいかにもなお嬢様に飽きてたんでしょう?

ならなってやろうじゃないの!




「ふふ、南城君のお友達なんて名誉なお役、私には務まりませんわ。どなたか別の方に……」


「夜白でいい。」

「話を聞けえええ。」




お嬢様らしく作戦は秒速で終わった。








「おお、総長に超強気な子がいる。」


突然聞こえた野太い声に振り向くと、



「おわっ……」




思わず声を漏らしてしまったのも仕方がないと言える位の、いかにもな不良集団がいた。


パンパンに物が詰まったコンビニの袋を両手に金髪のいかつい系な人が近づいて来る。






「おお、目が青い!お前ら青いぞ!」



青いらしいぞ、とざわめきが起こった。




「祖母がイギリス人なん「袴田ぁ!」」



食い気味かよ。



「メモしておけ!“総長の新しい女は外人。”」

「いや、外人じゃないし、クオーターだし。てかそもそも南城君とは何でもないし。」




「あだ名はどうする?!」

「ブル目ちゃんはどうだ?」



「や、話聞いて?ていうかあだ名、もっとましなのにしてよ!」




何なんだ、チーム南。

ちょっと馬鹿なのかもしれない。




結局それから五分後、あだ名は“あおちゃん”に決まった。