さっさと適当に帰らせようと思って───
─────面白い事を思いついた。
「吉良。」
吉良は煙草は吸わない。
未成年だからと俺を注意したお前は、好きな野郎が同じ事をしてたらどうするんだ?
吉良に煙草を差し出した。
バシンッ
刹那、煙草をもった右手に鋭い痛みが襲った。
まぁ喧嘩を日常とする俺からすれば、蚊にさされたようなものだったが、
調子に乗せすぎたみてぇだ。
「……てめぇ……あんまり調子に乗るな「こっちのセリフだよ!」
女は、キッと俺を睨んで言った。
「さっき会ったばっかりの南城君が何しててもどーーーーーーっでもいいけど……
うちの馬鹿兄貴に変な事教えるのやめてくれない?!こう見えてもピュアなんだから!」
「馬鹿兄貴……ピュア……」
この時俺はきっとすっげえ間抜けな顔をしていたに違いねぇ。
頭の中をこの女の言葉が反芻する。
馬鹿兄貴……って、吉良の事か?
てかピュアって……おい……
「くっ……くっくっくっくっ……」
「えと……」
「確かにピュアだよな、吉良は。……あの烏丸吉良をピュア……くっくっくっ……!」
この辺では、人形のように綺麗な顔で残虐に人を殴る吉良は神格視されつつある。
誰もが畏怖し、憧れているあの烏丸吉良がピュアとはなぁ。
確かに人の言ってる事をそのまんま信じるし、変な所で餓鬼だし、ピュアな奴だよな。