一緒に三日間、レポートを作ってきたけれど。




烏丸さんも西巴も、とにかく博識。




「やっぱり、偉人と言ったらありきたりだけど……レオナルドダヴィンチかしら。レポートにするネタもたくさんありますし、何より先生受けがよさそうですわ。」


「待って。あいつは授業を聞いてる限り、自国愛に溢れてる。“世界の偉人”って言うけど、日本の偉人でも構わないはずだよ。だって日本も“世界”なんだから。」





そして頭がいい。


ここでいう頭がいいって言うのは、勉強が出来るとかじゃなくて、賢いって事。


どうすれば最低限の労力で最大限のものを得られるかを考えられる人なんだ。


ちなみに烏丸さんがお嬢様に戻ったのは、此処にたくさんクラスメイトがいるから。


西巴の言うように、一度烏丸さんの本性を見たらその姿は違和感たっぷりだ。







「みて……烏丸さん。」

「男に媚びて……うざ。」








途中、そんな陰口も聞こえた。


どう考えてもそれは、女子の憧れ、西巴恵に選んでもらえた烏丸さんへの嫉妬だ。





「西巴君。私、向こうの本棚まで探しに行ってきますわ。その間橘君と二人でその案、纏めておいてもらえないかしら。」


「分かった。」






どう考えても……媚びてなんかいない。



烏丸さんをちゃんと見てれば分かるけど、彼女は西巴の見た目や家柄なんて全然気にしていなくて。


それだから西巴も、なんだかんだ言って烏丸さんと一緒にいるのは嫌ではなさそうなんだ。







「橘君、まだ時間もありますし、休み休みやって下さいね。」






烏丸さん……いい子なのに。


何も知らない身勝手な奴が、好き放題言ってるのがなんだか悔しかった。






目立つ事は、普通の人からしてみたら嬉しい事かもしれないけれど、

烏丸さんや西巴の場合は目立ちすぎてしまう。




それ故に行き過ぎた羨望───嫉妬にさらされてしまうんだ。