その時にはもう、口調はいつもの烏丸さんに戻っていて。






でも……他人ではないでしょ、絶対。


恋人同士とか?


家柄的にも外見的にもつり合ってるし……







「隣人。」






納得がいかないで色々考え出した俺に西巴が答えを教えてくれた。



隣人って……






「家が……近所なんだ?」

「……隣ですわ。」






誤魔化すのを諦めた様子で、肩を落としながら言う烏丸さん。


周りには黙ってて下さいね、と彼女は念を押す。







「大丈夫だよ。そいつ喋る友達いないから。」

「あんたもいないくせに。」







西巴が即座に烏丸さんに返した返事は正論なんだけど、


さっきぼっちを悲しんだばかりの俺の心にはグサグサ刺さる言葉で。



俺はうっかり対抗してしまった。






へぇ、と。


値踏みするような視線で西巴に見られ始めてから、自分のやったことが割とまずかったことを思い出したよね。


そいつは“西巴”。


歯向かえば、面倒な事になるかもしれないと。








やってしまったと焦る俺に助け舟を出してくれたのは烏丸さんで。




「橘君の言う通りですわ。人の事を指摘するのなら、自分には余程友達がいるんでしょうね?」



「全く同じ言葉をお返しするよ。友達のいない烏丸さん?」