「西巴君、学校で話すのは初めましてですわね。突然の指名、何事かと思いましたわ。」


「……その口調どうにかならない?いつも通りに話せば。」


「無理ですわ。此処は学校。誰が聞いてるか分かりませんもの。」


「気持ち悪いよ。周りの人には根っからのお嬢様に見せかけてるみたいだけど、俺からみたら違和感満載。まるで幼稚園児のお遊戯会だね。」


「あ〜〜〜っ、もう!気にしてる事を言わないで!てゆーか、これで女子達に今以上に反感買えば西巴君のせいにするからね。」


「烏丸さん、むしろ感謝すべきだよ?あのままだったらむさくるしい男達と三日間仲良しコースだ。」







ずんずんと肩を並べて先に歩いていく西巴と烏丸さん。


俺は若干小走りで二人の後を付いていく。






「それは嫌だけど……ぶっちゃけ西巴君と三日間も相当苦痛だよ?」

「安心して。俺も苦痛だから。」

「笑顔で言うな、笑顔で!」





……話を聞いている限り、どうやら二人は知り合いで。


それよりも何よりも。


どの女子とも喋らない西巴が烏丸さんとは何だか喋ってるし、

常におっとりお嬢様口調の烏丸さんが普通の女の子みたいになってる。






えっと……これは、夢か?






あの寡黙で煌びやかな二人のいつもとは違い過ぎるその姿に、頬を何度もつねって現実か確かめたよね。





「あのー……。」



二人にようやく話しかけることが出来たのは、校舎を出ようとしていた時。


俺が声をかけるまで、烏丸さんは俺の存在を忘れていたようで。




「二人は……知り合い?」

「いいえ、他人ですわ。」



くるりと振り返った烏丸さんは、笑顔でそう言った。