景南高校は、予想以上の荒れ具合だった。
不良高校といえども隠飛羽なんだから……なんて通用しない。
フツーに漫画で出てくる不良高校のようだった。
門には落書きされてるし、校舎の窓はトコロドコロ割れてるし……。
ここより荒れてると言われてる、東は一体どんな惨状なんだろうね。
南城君について来いと言われて、私は後をついていく。
後ろからは吉良がほんの少し息を切らして走ってやって来た。
夜の校舎に少し怯えながらついていくと、大きな扉の前で南城君は足をとめる。
その中には、部屋の奥に大きなソファーがあるだけで、他には何もなかった。
コンクリートで覆われた冷たい空間に、ワインレッドの色のソファーが、美しく映えるのみだった。
夜白side
「……って何吸ってるわけ。」
「煙草。」
「未成年は吸っちゃ駄目でしょ。」
「口煩い女。」
変な奴。
さっきまで大人しく怖がってんのかと思えば、正義を説く。
こういう正義感の強そうな女は面倒くせえ。
面倒くさい奴は、嫌いだ。
だから遊びの女も、適当に近寄って媚を売る、調子の良い奴しか選ばねえ。
吉良の女で退屈を紛らわせようと取り敢えず連れてきたものの、不愉快だ。