しかも殆どの話が、要するに嫉妬。





女子達が西巴の事しか見てないのが気に入らないんだろう。




……自分達が見苦しい事に気付いてないんだろうか。

なんだか……話しているのが面倒くさいな。






もう女子の罵声とか諸々忘れ去って、席に戻っちゃおうかな。


そう辟易していた時だった。







シーン──────






騒がしかったはずの廊下が有り得ないくらい静かになったのは。






「道……開けて頂いてもよろしいでしょうか?」






静かな廊下に響く、凛とした女の子の声。


その声で野次馬はサッとはけて道をつくった。





教室にやってきたのは、見た事もないような綺麗な女の子だった。





モデルやアイドルなんか比じゃない。




まるでフランス人形みたいに青い綺麗な瞳。

それでいて日本人の特徴である、黒い髪を兼ね揃えていて。


遠目からでも分かるくらいのびっしり生えた睫毛に、雪のように白い肌。


それと対照的に林檎のように赤い唇。






それまで一緒に話していた男子達も、廊下にいた男子達も皆顔を赤くして口を開けている。


廊下にいた女子たちは、口を揃えて「どこの御令嬢かしら……。」と感嘆にも似た声を出していて。



教室の中にいた女子たちも、ただただ驚くばかり。