黒板に貼ってある座席表を見れば、俺はどうやら……西巴の……右の席。





なにはともあれ後ろは嬉しい。

ラッキーと思いながら席に荷物を置きに行くけれど。






「ちょっと、あの子のせいで西巴様が見えないわね……。」

「邪魔よ!」







席に座ると廊下の外・室内の女子からめっちゃ罵声を浴びさせられてしまい、俺は割と困り果てていた。



なんたって実家がマフィアの巣ですので、屈強な男達とフェロモン満載の女達しか接した事がなくて。



同年代の……それも普通より上品な女の子にどう対応すればいいか分からなかったから。






謝ればいい?

それとも堂々と座ってていいのかな。






家にいれば、「ジュニア、あなたは座ってて下さい」と譲られる事しかない。


やっぱり、こういう事を学べるから親元を離れて来て良かったと思う。


どうしようか迷っていると、教室の隅に固まっていた男子達に手招きされて。





「何やってるんだよ。めっちゃ女子から睨まれてんぞ。」


「どうすればいいか分からなくて。」


「ははっ。どうすればいいか分からないって……お前B組だし、金持ちって訳でもないだろうに変な事言うんだな。」







何となく流れで自己紹介をしあい、いわゆる雑談タイムに入るけれど……。







「あの西巴徹朗の孫だろ?なんでB組になんているんだ?」

「よっぽど手に負えないんじゃねぇの?」

「ちょっと顔がいいからって、すかしてねぇ?」






やはりネタは西巴だった。