路地を抜けると、そこは公園だ。
「恵にっ、電話しなきゃっ……!」
ポケットから急いでスマホを取り出す。
《プルルル ガチャ》
……電話に秒速で出るのが初めて役に立ったかもしれない。
「恵!高橋君が、東が来て大変なの!」
「すぐ行く。何処にいるの?」
答えようとした時だった。
誰かに抱きしめられたのは。
「きゃあっっ……!」
振り向くと、黒いパーカーを着た男が。
ほんとに出た!変質者!
「やっと、会えたね……。いつも見てたよ……。あの男に邪魔されたせいで仲を引き裂かれてしまったけど……。」
何か言ってるよ?!
私は初見なんですけどっ!
「誰かっ……!」
抱きしめる力が強くなる。
「〜〜ったすけっ……」
「ぐぉっふっ……!」
ガンっという大きな音と、ほんの少しの衝撃を感じて恐る恐る振り向くと、男は吹っ飛んで遠くの電柱にぶつかって倒れている。
「……は?」