学校に行くのもなんだか苦痛。


同じクラスだから、碧依くんの姿を見ることになるから。



涙で赤く腫れた目元を隠すために、いつもよりかなり濃いメイク。


生活指導で怒られても気にしないもん。


「小宮さん!なんですか、その化粧!」

「今流行りの化粧でーすっ♪雑誌のモデルのマネ的な?」

「あとで生活指導室に来なさい!」

「はいはーい」


生活指導のおばちゃん先生から逃げるように、教室へ行く。


生活指導室なんて行くわけないじゃん。



「おっはよー!皐月〜」

「おはよー…って、羽珠なんか化粧濃くない?」

「どう?久しぶりに濃いめにしてみたー♪ピンク系で!」

「普通に可愛いけど……。1年の羽珠に戻ったみたい」

「あの時は濃過ぎるー!」


碧依くんと付き合う前。


入学したての時のあたしは、少しでも可愛く見られたくて。


ケバい化粧は当たり前って感じ。



今までの化粧、リップの色にでさえ近くにいた君を思い出す。


リップの色も変えたし、化粧も変えた。


これで少しは忘れられるかな?