【白幻】

「じっー!」

「………」

千奈と美子が出て行ってからというもの、俺はさっきから神斗の奴にじっと見られている。

「お前さっきから俺のことばかり見てるけど、俺に何かついてるのか?」

「別に大した理由じゃねぇよ、大人しく俺に見られてろ」

(だから!それが気になって仕方ないんだろうが!!)

この神斗とと言う男は、俺は嫌いだ。

嫌いな理由はただ一つ、こいつも千奈の事を好きだからだ。

美心に言われて気づかなかったが、こいつ昔千奈に告白して振られてるらしい。

それなのに、神斗はまだ千奈のことが好き。

よくここまで長い片想いが出来たものだ、千奈の本命人物である俺が出てきたのに、千奈の事をまだ諦めていない。

(とっとと、諦めやがれ)

俺は、イライラしながら餅を口へと運ぶ。

「なぁ、白」

「何だ?」

「お前千奈の何処に惚れた?それと千奈と結婚する気あんのか?」

…は?今何て言ったこいつ?