私が女の人の手を握ろうとした時、私中で何かが高鳴った。

ドクン………ドクン…。

(何…?)

凄く嫌な感じがした。

私の中で誰かが言った。

(その者の手を握っては駄目)

その言葉が聞こえた時、私は女の人の手を握らず、少し手を戻した。

「どうしたの?」

「えっと……。やっぱり、良いです。多分白が迎えに来てくれると思うので」

私がそう言うと、女の人は手を戻して。

「そう……」

低くそう呟いた。

(あれ?でもこの人…、この吹雪の中歩いてきたんだよね?なのにこの人…)

着物が濡れていない、それに雪が積もっていたあとも無い。

よく考えたら、着物一着でこの吹雪の中を歩くなんて有り得ない。