「あらあら、お嬢さん大丈夫?」

「え?」

声は私の目の前から聞こえてきて、顔を上げるとそこには、白い着物を着た人が立っていた。

「お嬢さんこんな所でどうしたの?」

「えっ!」

説明しようにも、この歳になって帰る道が分からなくなったなんて、言えないです…。

「ちょっと、帰る道が分からなくなってしまって…」

後から恥ずかしさが込み上げてきて、私はまた膝に顔をうずめた。

絶対変な子って思ったよね…。

そう思っていた私だけど、着物を着た女の人は、表情を緩めるとこう言った。

「分かるわ、この吹雪だもの。帰る道が分からなくなって当然だもの」

「え?」

予想していた答えと違ったので、思わず驚いてしまった。