【千奈】

「さ、寒い」

帰る道に迷っていたら、ヒラヒラと降っていた雪は激しく降り始めた。

「どうしよう……」

今だに私は、帰る道を見つけられず、バス停の中で雪がやむのを待っていた。

「どうしよう…、白やお父さん絶対心配してる」

はぁ、私って本当に駄目だな…。

白が意地悪するって理由で家を出て、それで道に迷って。

「白……」

白の笑顔が頭の中に浮かぶ。

「私…、このまま家に帰れないまま死ぬのかな?」

なんて、バス停の中で死ぬことなんてないと思うけど、やっぱり一人は寂しいし怖い。

「助けて…、白……」

顔を膝にうずめたとき、どこからか声が聞こえてきた。