「ちっ、もう千奈の存在に気づいたのか」

千奈の住む空舞凪神社の周りには、俺が貼った結界で守られている。

だから、神社の中にいる時の千奈の力は、表へ出ることはない。

しかし、千奈が神社の外に出ると、千奈の持つ力は、周りの妖達に気づかれる。

それ程までに、千奈の力は強大ってことだ。

「やっぱり、このマフラーを渡しておくんだった」

俺は、自分の首に巻いているマフラーに手をかける。

その時、俺の中で千奈の言葉が響いた。

『白はこれからもっと自分の事を大切にして』

千奈に言われた、もっと自分の事を大切にして。

俺は、自分の事より千奈を優先してマフラーをあげた。

確かに俺は、自分の事を大切にしていなかった、そのせいで俺は化け犬になった。

「もうあんな事は嫌だ……」