涙を堪える千奈。

「白幻って呼びずらかったら白(はく)で良いよ」

「うん、分かった! 白」

千奈は初めて神斗と美子以外の子を呼び捨てにした。

「こっちだ」

白幻は千奈の手を引き歩き出す。

「ねぇ、白はこの世界の人なの?」

「……はっきりとは言えないけどそうだよ」

「神様なの?」

「そうだな。犬の神様」

「お犬の神様なの! 可愛い」

千奈の『可愛い』と言った姿に、白幻は胸が高鳴った。

「ば、馬鹿じゃね!可愛くなんかねぇし」

「可愛いよ!私はお犬さん大好きなんだもん」

「千奈って、思った事すぐ口にだすタイプなんだな」