辺は完全に霧に覆われてしまい、何も見えなかった。

「……怖いよ。神斗君、美心ちゃんどこ?!」

二人を探そうと思っても、周りは霧で完全に覆われてしまっているので探しようがなかった。

「……誰か……助けて」

小さく千奈が呟いたとき。

「あれ? 人間の子供がいる」

「……っ?」

何処からか男の子の声が聞こえた。

「だ、誰?」

立ち上がった千奈は、声の人物が誰なのか確かめようと歩き出そうとする。

「あ! 駄目だ動いちゃ!」

「ひっ!」

急に声が大きくなったので肩が上がる。

「この世界は下手に動きまわると迷うから、じっとしている方がいいんだぞ」

声の主の男の子はそう言いながら、千奈の目の前に現れた。