「あまりここに居たら、あいつらに気づかれるのも時間の問題か……」

黒幻様が何かを呟いているけど、私は一歩二歩と後ろへと下がる。

「だからそんなに警戒しないでよ、君がマフラーを返してくれないんじゃ、君ごと連れて行くしかないね」

「私ごと?」

この人、さっきから口調が変わってる。さっきは私の事お前って言ったり、巫女様って呼んだり……、さっきは君って呼んだり。

(この人は一体……)

「どうするの君、僕と一緒に来れば白幻に会えるけど」

「えっ!?」

私の心臓が大きく高鳴った。

白に会える、黒幻様に付いて行けば白に。

「でも、ついて来るとなるとそれなりに覚悟しておいてね」

「……は、はい!」

「なら行くよ、途中で迷子になられても困るから、僕の後ろちゃんと付いて来てよ」

そして、再び暗い道の中へと戻り始める黒幻様。

「よし」

絶対迷子なんかにならない、この鈴が白の元へと私を導いてくれる。