「これ……、こいつに話してもいいのか?」

話ってなに?白は一体どうしてるの?

「とりあえず、君が持っているそのマフラー返してもらえないかな?」

「え!」

私は首に巻いていたマフラーを掴む。

「そんなに警戒しないでよ、元々そのマフラーは僕達犬神にとって大切なもんなんだよ」

「え?黒耳のお犬さん達にとって大切な?」

「あ〜、そういえばまだ名前言ってなかったな、僕の名前は黒幻(こくげん)」

「黒幻様?」

名前が白と似ている、もしかして犬神さんの名前には“幻”って必ずつくのかな?

「呼び方は別に良いけど、早くそのマフラーを渡して貰えたら、今日の所は帰ってあげるよ」

「理、理由も無しに白から貰ったマフラーを、簡単に渡すわけには行きません!」

「やっぱ、巫女様って面倒臭」

「そ、それにこれは白が私にくれたものです!」