「こ、ここじゃなくて」

道は二つに別れていて、どっちに行ったらいいのか分からなかった。

「で、でも大丈夫だよね!白がくれたマフラーを身につけてれば、妖に見つかることなんて…」

「おー!いたいた」

「えっ!」

片方の暗闇の中から声が聞こえた。

「いや〜こんな所にいたのか、まさか術が解けるだなんて思っていなかったよ」

「だ、誰ですか?!」

一歩ずつ後ろへと下がる。

「困るよ、勝手にどっかに行かれると」

暗闇の中から姿を現したのは、髪の色が黒色で瞳の色は金色、水干姿だけど頭には耳が生えていて、後ろからは尻尾が出ていた。

「……白?」

黒い頭をしたお犬さんみたいな人は、長い髪を後ろへと払うと、私の言葉に疑問をもったのか言って来た。

「…白?あ〜アイツの事ね。あいつと僕を一緒にしないでくれるかな?」