【白幻】

「俺は、一体何をやってんだよ……」

自分でしときながら後悔するなんて……。

美心に言われてから変になっちまった。

「学校に行って、理性保てるか分からなくなった」

と言っても、今一緒に暮らしてる時点で理性を保つのがやっとだ。

まだ雪姫苺や千暁と一緒にいるときは、意識せずに普通に接することはできるが、二人きりの時はとにかくやばい。

さっきだって千奈が小声で「大好き」とか言うから、俺の中の理性の糸がぷつりと切れた。

「でも、初めてした。千奈とキス…」

いつかはとか思っていたけど、こんなタイミングでする事になるなんて思ってなかった。

された本人も思ってなかっただろうけど。

「とりあえず、頭冷やすか……」

俺は、外へと出て積もった雪の上を歩く。

「寒いな……」

そういや、まだ一月だっけ?

「そろそろあの時期になるな」

あの時期と言うのは、犬神家と空舞凪の契約の儀式だ。

儀式は犬神家で行われ、空の巫女とそれに使える犬神の本契約のことを示す。

前にしたのは仮契約だ、まぁ俺が強引に結んだやつだけど、儀式を行うことで本当に契約したことになる。