─7月29日─
淀みない空に靴音を響かせて駅前の通りをまっすぐ進んでいく。
足を止めたのは商店街の一画にあるレトロな喫茶店。一つ深呼吸してその扉を開けた。
──チリリ…ン
「いらっしゃいませ。」
心地良いドアベルの音色と共に店内に入り、雪姫は辺りをキョロキョロ見渡した。
──あっ、居た。
窓際の一番奥、ボックス席に見覚えのある二人の男性が手を挙げている。
「遅れてすみませんっ」
「いや、部活があるんだから仕方ないよ。どうぞ座って。」
雪姫は促されるまま座った。店に入って何も頼まないのは失礼かと思い、店員の女性にレモンスカッシュを注文する。
時刻は正午を少し回ったところ。晴流が刺されたことでより過保護になってしまった琥太郎の目を避ける為、部活の昼休憩にこっそり抜け出してきたのだ。
じっとり汗をかいた身体が冷房で冷やされていく。長袖のパーカーを羽織ってきたのは正解のようだ。
「…では、気づいたことというのを教えて貰えますか。」
雪姫の前に注文の品が置かれたのを合図に、年配刑事・鳩山は本題を切り出した。
淀みない空に靴音を響かせて駅前の通りをまっすぐ進んでいく。
足を止めたのは商店街の一画にあるレトロな喫茶店。一つ深呼吸してその扉を開けた。
──チリリ…ン
「いらっしゃいませ。」
心地良いドアベルの音色と共に店内に入り、雪姫は辺りをキョロキョロ見渡した。
──あっ、居た。
窓際の一番奥、ボックス席に見覚えのある二人の男性が手を挙げている。
「遅れてすみませんっ」
「いや、部活があるんだから仕方ないよ。どうぞ座って。」
雪姫は促されるまま座った。店に入って何も頼まないのは失礼かと思い、店員の女性にレモンスカッシュを注文する。
時刻は正午を少し回ったところ。晴流が刺されたことでより過保護になってしまった琥太郎の目を避ける為、部活の昼休憩にこっそり抜け出してきたのだ。
じっとり汗をかいた身体が冷房で冷やされていく。長袖のパーカーを羽織ってきたのは正解のようだ。
「…では、気づいたことというのを教えて貰えますか。」
雪姫の前に注文の品が置かれたのを合図に、年配刑事・鳩山は本題を切り出した。