『──許す気は、ないから。』
煮えたぎるように熱く、氷のように鋭い言葉と共に突き刺さった鋼の切っ先。激痛に身を歪めるが、真っ赤に濡れた凶器は尚も襲う。
『あ…が…ぁあっ』
地に倒れ込むと視界が揺らいだ。遠退く意識の中で感じた相手の激情はこの傷よりも深くて、痛い。
──ああ、こんなにも憎まれていたのか、オレは。
最早起き上がる気力もない中、顔だけを相手に向けた。
『…殺せ。』
──この命が憎しみしか生み出せないなら。
『そんなに憎いんなら…恨んでんなら、さっさと殺せよ!それで気が済むんだろ…!?』
裂ける傷の痛みを無視して血を吐きながらもそう叫ぶ。しかし相手はそれ以上凶器を翳すことはしなかった。
踵を返し遠ざかる足音を境に耳までおかしくなり、いよいよ瞼が落ちる。
──何でトドメを刺さない。
罪深過ぎるオレにはもう、死すら許されないというのか…。