晴流の事件の目撃者であり琥太郎の元クラスメート。この偶然の繋がりには何か大きな違和感が潜んでいる。


──いったい、彼は…。


「……ぅ…」


 と、その時。琥太郎の口から呻き声のようなものが漏れた。ハッとして見やれば閉じていた目がうっすらと開けられている。


「琥太郎っ、気がついた!?」


「………雪姫ちゃん…」


 真上から覗き込む雪姫を見て数回瞬きを繰り返す。そして今自身が置かれている状況に気がつき、琥太郎は物凄い勢いで飛び起きた。


「わ、わ、ちょっ、雪姫ちゃん!?な、何でひ、膝枕なんてしてるのぉ…っ!?」


 真っ赤な顔で動揺する琥太郎に対し、雪姫は照れもせずあっさりと言う。


「へっ?だってこのベンチ硬くてゴツゴツしてるし。そのままだと頭痛くなっちゃうだろうなぁ、って思って。」


──雪姫ちゃん、危険!天然過ぎて危険…っ!


 なんとか落ち着こうと深呼吸を繰り返す琥太郎。そんな様子に首を傾げながら、雪姫は徐に問い掛ける。


「…大丈夫?まだ気分悪い?」


「あ…」


 雪姫に言われ琥太郎はそうだ、と思い出した。自身が気を失っていたこと。そしてそのきっかけとなった出来事をも。