─8月3日─
大きな入道雲の間から降り注ぐ日差しが朝の街を柔らかく照らしている。玄関の扉を開けると澄みきった朝の空気が全身を包み込んだ。
「…雪姫。本当に良かったの?"試合に出れるかも"って、あんなに喜んでたのに。」
咲季は困惑した様子で雪姫の背に問い掛ける。その理由は、つい先程バスケ部の顧問に休部届を出してきたから。
スポーツ特待生の雪姫はバスケ部に貢献することを条件に奨学金を貰い高校に通っている。無期限で休部するということは、言葉以上に大きな賭けなのだ。
──たぶん、冬の大会までに戻ってこなきゃ辞めさせられるんだろうなぁ。
しかし、雪姫の表情に迷いはない。それどころか晴れ晴れとした笑顔で咲季に答える。
「うんっ、いいの。晴流の無事を確かめるのが最優先だし。それに、こんな中途半端な気持ちのままでバスケなんて出来ないから。」
バスケは一番大好きなスポーツ。そして、斗真との絆でもある。だから、きちんとした気持ちで向き合いたいのだ。
「絶対に晴流を見つけ出して…とりあえず一回ひっぱたく。そんでもって、引きずってでも帰ってくるから。」
スニーカーのつま先をトンッと馴らし、雪姫は外へと踏み出した。
「──いってきますっ」
「…いってらっしゃい。」
大きな入道雲の間から降り注ぐ日差しが朝の街を柔らかく照らしている。玄関の扉を開けると澄みきった朝の空気が全身を包み込んだ。
「…雪姫。本当に良かったの?"試合に出れるかも"って、あんなに喜んでたのに。」
咲季は困惑した様子で雪姫の背に問い掛ける。その理由は、つい先程バスケ部の顧問に休部届を出してきたから。
スポーツ特待生の雪姫はバスケ部に貢献することを条件に奨学金を貰い高校に通っている。無期限で休部するということは、言葉以上に大きな賭けなのだ。
──たぶん、冬の大会までに戻ってこなきゃ辞めさせられるんだろうなぁ。
しかし、雪姫の表情に迷いはない。それどころか晴れ晴れとした笑顔で咲季に答える。
「うんっ、いいの。晴流の無事を確かめるのが最優先だし。それに、こんな中途半端な気持ちのままでバスケなんて出来ないから。」
バスケは一番大好きなスポーツ。そして、斗真との絆でもある。だから、きちんとした気持ちで向き合いたいのだ。
「絶対に晴流を見つけ出して…とりあえず一回ひっぱたく。そんでもって、引きずってでも帰ってくるから。」
スニーカーのつま先をトンッと馴らし、雪姫は外へと踏み出した。
「──いってきますっ」
「…いってらっしゃい。」