─7月21日─
天候に恵まれ、心地よい風が吹き抜ける山中。雪姫は暑い日差しに揺れる木漏れ日の中、大樹の枝に乗り手を伸ばした。
──もう少し…っ
目当てのものを掴み取ると、無邪気な子どものような笑顔を浮かべた。
「おーいっ!雪姫ー!」
その時下から呼ばれ視線を移すと、よく知った声の主が怒り気味の表情で見上げていた。
──峰村斗真。男子バスケ部に所属する雪姫の部活仲間で、もう一人の友人だ。
「お前もテント張り手伝えよ!そろそろ奈々がキレんぞーっ」
「あ、ごめん!今行くーっ」
彼らがやって来たのは近隣のキャンプ場。家から割と近いということで保護者なし、五人だけでの小旅行だった。
言われた通り枝から下りる直前、雪姫は思い出したように呼びかける。
「…あ、斗真!」
「あー?」
「パス!」
「!?」
雪姫が放ったものを条件反射でキャッチした斗真。何だろうと手の中を見た瞬間…
「う゛わあぁぁあぁーーっ!!!!」
山全体に悲痛な叫び声が木霊した。
天候に恵まれ、心地よい風が吹き抜ける山中。雪姫は暑い日差しに揺れる木漏れ日の中、大樹の枝に乗り手を伸ばした。
──もう少し…っ
目当てのものを掴み取ると、無邪気な子どものような笑顔を浮かべた。
「おーいっ!雪姫ー!」
その時下から呼ばれ視線を移すと、よく知った声の主が怒り気味の表情で見上げていた。
──峰村斗真。男子バスケ部に所属する雪姫の部活仲間で、もう一人の友人だ。
「お前もテント張り手伝えよ!そろそろ奈々がキレんぞーっ」
「あ、ごめん!今行くーっ」
彼らがやって来たのは近隣のキャンプ場。家から割と近いということで保護者なし、五人だけでの小旅行だった。
言われた通り枝から下りる直前、雪姫は思い出したように呼びかける。
「…あ、斗真!」
「あー?」
「パス!」
「!?」
雪姫が放ったものを条件反射でキャッチした斗真。何だろうと手の中を見た瞬間…
「う゛わあぁぁあぁーーっ!!!!」
山全体に悲痛な叫び声が木霊した。