オレンジ色のスーツケースを片手に、G

UCCIのサングラスをかけて、レモン味

のガムを噛みながら成田空港の国際到着

出口からでて、サングラスを外して見回

してた。


誰かを探していたようだ。



「嬢さん!杏由(あゆ)お嬢さん!」スー

ツを着た中年男性が呼びながら手を強く

振った。



「あっ!久しぶりだねタナさん‼︎‼︎」杏由

は嬉しそうな顔して、タナっていう人の

とこに走っていた。



二人はあまりに喜んでいたので、周りを

無視してたんだ。



その場にいた全員はこっちを見てたって

事には、杏由は、いまだ知らないのだろ

う。



そう、あたし、関杏由(せき あゆ)。


ロンドンで生まれ、小学校からはニュー

ヨーク、16歳の9月で正式帰国します!



私立桜師学園の高校二年生に入るという

ことで、杏由は一ヶ月前から準備をしは

じめていたのだ。日本人なのに日本で暮

らしたことはない。だから現地の学校に

入ることは杏由の夢のようなことだった




海外では九月が学年の始まりで、杏由は

九月から高二のはずなんたけど、日本に

帰ってきた以上、そのまま二学期に入る

ことにしたのだ。



「日本…ねー。」窓の外の景色を眺めな

がら不意につぶやいた。



「どうかしましたか?杏由お嬢さん」タ

ナは運転しながらバックミラーに映って

た杏由を見た。



「ううん、なんでもないわ!今日から一

年間、パパとママに会えなくなるよねー

寂しいー」杏由の親はアメリカに残るこ

とにしたので、杏由は一人暮らしを提案

した。理由は、「暮らしてみたいから」

っだ。金持ちはいいねー。



「大丈夫ですよ!私もいるから、お嬢さ

んは心配しなくていいんですよ」タナは

爽やかに笑った。


その笑顔は本当に久しぶりだなっと、杏

由は思った。



「入国手続きの問題で帰国が2週間遅れ

ましたから、明後日から学校なんですよ

。キツそうだか大丈夫ですか。」タナは

心配そうな顔をしてた。



「大丈夫だよタナさん!楽しみにしてる

って!でも心配してくれてありがと」笑

ながら杏由はそういった。



「そうですか、では頑張ってくださいよ

!」

「はいっ!」


太陽さまはもうお疲れのようで、こっそ

りと沈んでしまった。いつの間にか空は

暗くなった。



「頑張るから。」


杏由は六本木の高級マンションの最上階

の部屋のベランダで外の星をみてた。

「学校、楽しみだね!」

一言を残して、杏由は荷物をひとつひと

つスーツケースから出した。