「モスコーミュール。」

そう注文しながら腹に響く音楽が流れるフロアから少し離れたカウンターに腰をおろした。


店員は20代前半くらいの男。
少し長めのウェーブのかかった髪を髪にかけていた。


「初めて見る顔だね。」

「だって、初めて来たから。」

「君はフロアには行かないの。」

「人を待ってるの。」


そこで店員との会話は切れた。


私がここに呼ばれたのは、3時間前のことーー