「あ、すんません。
今から行きます」



高橋くんが、金子にそう答えながら
ムクッと立ち上がる。



あたし、さっきなんて言おうとした?

金子が入ってこなかったら、
なんて言おうとしてたんだろう…。



わからない。

高橋くんのたまに見せる甘い表情とか
ちょっと強引な言葉とか。


それが無性にあたしをドキドキさせる。



「…じゃあ、あたしは先行ってるね」


「はい」


その感情がわからないまま、

あたしは、高橋くんにそう伝えて、
部屋を出た。