けれど…

少年の父親は急激に魔力が高くなった。

なぜかは不明だ。
秘薬でも作ったか、生まれつきあった才能が遅く開花したと言ってもいいだろう。


それは賢者の魔力か、それ以上とも言われた。

父親は、自分の魔力の高さという才能に惚れ込み、自分を今まで侮辱してきた者たちを次々と殺して行った。


それは家族にまで及び出した。

父親は魔界の中でも高い位につくと、妻と少年に魔法による攻撃を行った。

少年は元々魔力が高かったから、耐えれた。

しかし、少年の母親は耐え切れず、暴走した父親の魔法により命を落としてしまう。


少年は父親を憎んだ。
しかし、憎んだ所でしょうがない。


少年は、できるだけ離れるために、旅へ出た。

色々な地方に行くと、今までとはなんか違う新しい世界が見えた気がした。


美しい草原が広がる所の一角に、少年は母親の遺体を埋めた。


父親は人を勝手に殺しても殺しても、肩書きや権力で法には問われなかった。


その噂を聞くたびに、憎しみは増える一方だった。