「マリア・ウィンザーとしてのお前を知っている奴が、日本にいるのは間違いない。そいつがメールをばら撒いた張本人なのか、協力しているだけなのかはまだ分からないが……」
選ぶように告げられた言葉は、疑念なんかじゃなく確信を持ったもので。
魁さんの言葉が、頭の中をぐるぐると回る。
「……………………」
マリア・ウィンザーとしての私を知っている人……。
その人物に、心当たりはあった。
神威のメンバーである田中さんと、どこかの暴走族の総長をしているらしい暁さん。
今回のメールを流した人物ではないかもしれないけれど……
少なくともこの二人には、面と向かってマリア・ウィンザーの名前で呼ばれていたから。
「何処で見張られているのか分からない以上、一人で出歩いたり俺といる時以外変装を解いたりするなよ?」
「……………………」
あの二人に名前を呼ばれた場面に意識を飛ばしていた私は、向けられた魁さんの言葉に直ぐに返事を返すことができなかった。