「前に、俺の女だと思い込んだ白皇の奴等に狙われたことがあっただろ?」


「はい」


「もし俺との関係がバレれば、今度は白皇だけじゃない。俺を恨んでいる他の奴等からも、間違いなくお前は狙われる」


「……………………」


私が狙われる?


「だから、周防マリアでいる間は、他の奴に何を聞かれてもだんまりを決め込め」


「周防マリアでいる間……?」


ぽつりと呟いた言葉に頷いた魁さんは


「何処から情報が漏れたのか、俺の婚約者が“マリア・ウィンザー”だってことがバレて広まってる」


そう言って、手にしていたスマホを操作して私の目の前に差し出した。

その画面の画像と文字を、食い入るように目で追っていくと


「この写真って……」


「白石に撮られたやつだろうな」


そこに映し出されていたのは、みなとみらいで白石に撮られた私の写真と、魁さんと私の関係が簡単に書かれたメールだった。