予想外の場所に、ポカンと口を開けて見上げていれば


「なに、そんな所で突っ立ってるの? こっちよ」


いつの間にか、少し先に進んでいた綾ちゃんからお声がかかる。


───あ、お寺じゃないんだ

そうだよねぇ、びっくりした……と、ホッとしたのも束の間で。


「……え」


手招きする綾ちゃんの背後にある建物を見て、更に目が点になった。


なぜって?

だってそこには、お寺に引けを取らないほどの立派な門構えのお屋敷があったから。


「あの、ここ……?」


また私の勘違いかもしれない。

そう思って、その立派なお屋敷を指差せば


「そうよ」


綾ちゃんは、にこりと笑みを浮かべて答えた。