『”純平さん”またこっち見てる!!』
嬉しそうに女たちがはしゃぐ。
いつもの屋上を見上げると、そこには彼の姿があった。
金曜日の3限、彼は必ずそこに現れる。
そして、必ずこちら側を向いてこちら側を見下ろすんだ。
その時の“純平さん”の穏やかな表情は、他では見れないと思う。
それにしても不思議だよなぁ。
彼が俺らを見てるのは確かなんだよ。
だけど、彼がこの程度の女たちに興味があるとは思えない。
彼の位置から俺らを見下ろして、何が見えるっていうんだ?
それを確かめるために、誰もいない屋上にのぼってみたこともある。
だけど、なにも見えなくて。
きっと、金曜日の3限じゃないと意味ないんだ。
彼をあんな顔にさせるその何かを、俺は知りたくてしょうがなかった。
俺は、決心した。
by kotaro