壮ちゃんは周りとは少し違う雰囲気を持っていた。
独特、というか
自分の世界を持つ、みたいな。
そんなところにも惹かれた。
壮ちゃんはサッカー部で
私は家庭部だった。
家庭部はあってないような部活だったから
私はほとんど行っていない。
だから放課後友達と時間をつぶして
壮ちゃんが部活を終えるのを待った。
「果那、帰るぞ」
「うん!」
他愛無い話をして片道25分。
少しでも一緒にいたくて
一緒に帰るときは自転車はやめた。
歩いたほうがゆっくりできるから。
壮ちゃんの家は正反対で
私の家から私が自転車をこいだら1時間以上は余裕でかかる。
でも壮ちゃんは40分あれば余裕って言って
「30分まで一緒にいる」
「もう30分だよ」
「…8時までいる」
「8時になったよ」
こんな感じでいつもずるずる時間をずらして一緒にいた。