上村に何度か両肩を揺さぶられて、ようやく目の焦点が合った。覗き込む上村の瞳の中に、怯えた女の顔が映っている。

「先輩、病院から電話です。俺が連れて行きますから、早く」

「――病院?」

「どうしたんですか。しっかりしてください! 早く行かないと間に合わなくなる!!」

 上村のその一言が、私を一気に現実に引き戻した。

「……行かなきゃ!!」

 そのままオアシス部を飛び出そうとした私の腕を、上村が掴んだ。

「だから、俺も一緒に行くって!」

 前回、母が倒れた時のことを思い出したのだろう。上村が私を心配そうに覗きこんだ。