耳元からスマホを外し、画面を見つめる。
スマホからは先ほどの看護士のわめき声がかすかに聞こえた。
――今日はクリスマスイブで、仕事が終わったら病院へ行って母さんと一緒にケーキを食べるんだ。
そういえば、ケーキの入った袋、私どうしたっけ?――
「先輩! 電話貸して」
その時、横から突然現れた上村が、私の手の中からスマホを奪い取った。素早く耳に当て、何かを話しはじめる。
私は、まるで他人事のようにその様子をぼんやりと眺めていた。
「はい、すぐに向かわせます。ありがとうございます」
体が軸を失ったように、ぐらぐらと揺れていた。
上村の声も回りの喧騒も、全て反響したように頭の中で鳴り響く。
――耳鳴りがする。
スマホからは先ほどの看護士のわめき声がかすかに聞こえた。
――今日はクリスマスイブで、仕事が終わったら病院へ行って母さんと一緒にケーキを食べるんだ。
そういえば、ケーキの入った袋、私どうしたっけ?――
「先輩! 電話貸して」
その時、横から突然現れた上村が、私の手の中からスマホを奪い取った。素早く耳に当て、何かを話しはじめる。
私は、まるで他人事のようにその様子をぼんやりと眺めていた。
「はい、すぐに向かわせます。ありがとうございます」
体が軸を失ったように、ぐらぐらと揺れていた。
上村の声も回りの喧騒も、全て反響したように頭の中で鳴り響く。
――耳鳴りがする。