「うまくいくといいわね」

「うー、今からドキドキしちゃう。今日一日仕事にならないかも!」

「また美奈子に怒られるわよ」

「あー、それはヤダ」

 二人小さくはしゃぎながら、会社のロビーを歩いた。

「おはようございます」

 受付の女の子たちと朝の挨拶を交わす。カウンターに置かれたポインセチアが、真っ赤な葉を茂らせている。

 そのポインセチアの鉢の向こうに、来客用のソファーに腰掛けている麻倉さんを見つけた。

 いつもより、心なしか華やかに見える。響子が目ざとく彼女の存在に気がついた。

「あの人ですよね、麻倉さん。上村くんとつきあっているっていう……」

「……そうらしいね」

 響子の手前、私は無関心を装った。