「ありがとうございました」
「本当にここでいいの? 部屋まで送るのに」
心配そうに私を覗きこむ岩井田さんに首を振る。
「大丈夫ですよ。岩井田さんこそ運転気をつけてくださいね」
夕方降り始めた雪は、うっすらと積もりはじめていた。
「ありがとう、気をつけるよ。……それじゃあ、また明日会社で」
マンションのエントランスの前に立ち、岩井田さんの車が見えなくなるまで手を振った。紺色のコートに散らばった雪をはらいマンションに入る。私の身体から落ちた雪も降り積もる雪と混ざって、どれがそうだったのかわからなくなった。
このまま一晩中、雪は降り続いて。
明日の朝、私が見る世界は色を変えているのだろうか。
「本当にここでいいの? 部屋まで送るのに」
心配そうに私を覗きこむ岩井田さんに首を振る。
「大丈夫ですよ。岩井田さんこそ運転気をつけてくださいね」
夕方降り始めた雪は、うっすらと積もりはじめていた。
「ありがとう、気をつけるよ。……それじゃあ、また明日会社で」
マンションのエントランスの前に立ち、岩井田さんの車が見えなくなるまで手を振った。紺色のコートに散らばった雪をはらいマンションに入る。私の身体から落ちた雪も降り積もる雪と混ざって、どれがそうだったのかわからなくなった。
このまま一晩中、雪は降り続いて。
明日の朝、私が見る世界は色を変えているのだろうか。