「ずっと傍で見て来たから、君が誰を想っているのかはわかってるつもりだよ」

「岩井田さん……」

 岩井田さんは、気が付いていたんだ。ずっとひた隠しにしてきた、私の本当の気持ちを。

「僕は……やつとは違う。決して君を一人にしない。仕事のときも、そうじゃないときも、僕の傍にいて欲しい」

「岩井田さん、でも私は――」

「三谷さん」

 岩井田さんは、答えようとする私の口を片手で塞いだ。

「返事は今じゃなくていい。ゆっくり、考えてみてくれないかな」

「でも……」

「すぐに結論を出すんじゃなくて、ちゃんと考えてみて欲しいんだ。ゆっくりと、一人で。いいね?」

 岩井田さんの言葉に、私はただ頷くことしかできなかった。

 降りしきる雪の中、七色に煌くツリーだけが、私たちを見守っていた。