「岩井田さん、いきいきしてる。本当にこの仕事が好きなんですね」

「そうだね。不安が全くないかといったら嘘になるけど、今から楽しみで仕方ない。俺がずっとやりたかったのはこういうことなんだなあってしみじみ思うよ」

「羨ましいです。私、ずっと仕事に責任を持ってやってきたつもりだけど、仕事に対して岩井田さんのような情熱があるかと言われたら、それは自信がない」

 ある日突然私がいなくなっても、簡単に代わりがきくんじゃないかと、漠然とそんな不安も抱えていた。君が必要なんだと言われたくてずっと頑張ってきた。

 でも私にその言葉をくれたのは、今私の目の前で夢を語るこの人だけだ。

「小さい会社だから、今の会社みたいに事務処理ばかりしていればいいとは限らない。三谷さんにも色々な業務をやってもらうつもりでいます。この数ヶ月君と一緒に仕事してみて、やはり僕はあなたを欲しいと思った。君みたいな人が、僕には必要なんだ」