「すみません、大和ったら一人で先に行っちゃって。まったくですよ」




大和のお母さんはいい人だと思う。


確かに服装は派手だし
心なしか化粧も濃い。


それでも気取らないというか、
大和のお母さんには
そういう謙虚さがあった。




「そうなんですか?残念ねぇ......」

「ホント、最近はろくに口も聞いてくれないのよ」




大和のお母さんの言葉で
井戸端会議が始まった。


長くなりそうだったから、
お母さんに踵を返した後
大和のお母さんに
会釈してその場を去る。




(まったく、なんでいつも大人の話って長いんだろ)




家に帰るために馴染みのある
道を通る。


ここが明日から通学路になると
思うと自然と足が軽くなった。