事故から一週間がたち、私は退院することができた。その間、旬君は毎日のように私のお見舞いに来てくれた。あの衝撃的な再会からどのくらいたっただろう。旬君はまだ私のことを諦めていないようだった。
「直海ちゃん、遊びに来たよ！」
「旬君！何で私の家知ってるの？」
「それは…」
「お母さんが教えてあげたの★」
「お母さん！」
「さっき、買い物の帰りに偶然会ってねぇ。その前に直海！何で教えてくれなかったのよぉ～、久遠さんが旬君だってこと！」
「別に教える必要ないでしょ？」
「あーる！」
　旬君は私とお母さんの会話を見て、クスクス笑っている。
「なに笑ってるの？」
「いや、昔から仲良いなぁって思ってさ。羨ましいよ……」
　そう言うと旬君は黙ってしまった。
「立ち話もなんだから、あがって行きなさいよ旬君！久しぶりに会ったことだし、いろいろお話きかせてよ」
「すいません。この後バイト入ってて、また今度バイトのない日にお邪魔します。じゃ、また。じゃあね、直海ちゃん」
　旬君は一体何個のバイトをしているのだろうか。なぜそんなにバイトをしなくちゃいけないのか。どうして何も相談してくれないのか。いろんな疑問が渦を巻いて、目が回りそうだ。今度会った時に聞いてみよう。