この数十分間の、ほんの数秒だけ俺たちの距離はほとんどゼロになる。



いつも、終わりの挨拶のように。


「先生。」


そう言って蒼井は俺の髪にキスをする。


そんなことをするくせに、俺に言いよることも触れることも無い。


そして思い出させるように、先生、と言うんだ。


彼女は俺の気持ちを知っているのだろうか。


「生徒が先生をからかうな。
もう来るなよ。」